でも100万円超
薪(まき)ストーブが静かな人気を集めている。
東日本大震災後の石油不足や節電意識の高まりが背景にあるとみられ、
設置費用と合わせて100万円 前後から200万円近いものもある中、
年内は工事予約がいっぱいという店もある。
暖を取るだけでなく、湯沸かしや調理ができる利点もあり、明かり取りにも。
揺らぐ炎に癒やしを求め る人も少なくないようだ。
「1台で家中が暖かくなる。暖かい明かりを見ていると、守られているような安心感もある」
メンテナンス器具を探しに、薪ストーブ専門店「ファイヤーライフ茨城本店」(水戸市)に来ていた
茨 城県日立市の主婦(43)は、こう魅力を話した。
2年前、新築のマイホームに設置。震災時は、停電の 中、暖を取り、天板の上に鍋を置いてご飯を炊いたといい、
もはや、なくてはならない存在という。
ほか にも、みそ汁を作ったり、内部に肉や魚を入れて焼いたりもできる。
同店では昨年まで、4〜9月は既存の住宅の取り付け工事はほとんどなかったが、
今年は同じ半年間で 30台ほど売れた。設置費を含め、1台約100万〜170万円、
期間も2〜3日かかるが、現在も、週 末になると、店は年配の夫婦や親子連れでにぎわい、
12月まで取り付け工事の予約はいっぱいだという。
同店など全国25店舗を展開する「日本ファイヤーライフ」(同)の佐藤賢二社長(43)は
「電気も ガスも使えず、寒い、暗いといった震災時の不安から購入を考えるようになったのではないか。
単なる節 電ではなく、豊かに節電しようと考えている人が多い」と分析。
また、薪ストーブを介したコミュニケー ションという「他の暖房器具にはない魅力がある」とも。
実際、客からは「孫がよく来るようになった」 「飲み仲間が多くなった」「家族の会話が増えた」
といった声が聞かれるといい、
佐藤社長は「体の芯か ら暖まる。暮らしを楽しむアイテムの一つとしていかが」と薦めている。
また、「カントリーログ」(同県桜川市)でも、販売台数は例年を2割ほど上回っているといい、
設置 を機に、週末に薪拾いに行くなど生活スタイルを変える人もいるという。
堀中正社長(59)は「視覚的 にも暖まり、炎を見ることで癒やしを感じている人も多い。
エアコンにはない快適さを体験してほしい」 と話している。 (2011年10月23日16時11分 読売新聞)